この塀は今年の一月に撮ったもの。
たまたま私の現場の前のお宅で、ずっと竹が濛々と生えて
いました。
そこに顔なじみの大工さん。
何度となく一緒に仕事をさせていただいて、いつも私のあ
さはかな考えを一笑してダメなモノはダメと正して頂き、
悔しいけれどもより良いアイデアとディティールで仕事を
して下さってた人です。
昨年体調を崩して急遽現場を途中降板されてからしばらく
お会いできてなかったのですが、久しぶりに出会ったこの
日は前と変わらず元気な姿で、この竹の持ち主と竹をどう
にかしたいと相談を受けている様子でした。
一週間後現場に行くとこの塀が出来上がっていて、その場の
竹を切って板塀に転用するセンスに敬服しました。
うっそうとした竹薮が竹林になり、境界を示す塀も竹の丸み
によって軽やかにリズムを刻んでたっています。
風が竹林を通り抜けると音をたてて揺れ、涼しさを感じさせ
てくれる。
竹は涼しく風は清し。
こんな言葉が浮かんでくる情景でした。
この塀を見て又少し悔しくなり、次の仕事を一緒にする時に
は色々とアイデアをぶつけてみようと密かに考えていました
が、そんな勝手な願いはかなえられる事はなくなりました。
色々と大変お世話になりました。
今は無念と感謝の想いで一杯です。
本当にありがとうございました。
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